1-2 人工知能研究の歴史
みかん
今回はG検定の第1章の2節「人工知能研究の歴史」を解説します。AI研究はブームと冬の時代を繰り返しながら発展してきました。一緒に見ていきましょう!
1. 人工知能研究の歴史
1.1 世界初の汎用コンピュータの誕生
みかん
1946年、アメリカのペンシルバニア大学でエニアック(ENIAC)という17,468本もの真空管を使った巨大な電算機が開発されました。これが世界初の汎用電子式コンピュータとされています。
ENIAC
エニアック(ENIAC、1946年)= アメリカのペンシルバニア大学で開発された世界初の汎用電子式コンピュータ。17,468本の真空管を使用。
1946年 ENIAC(真空管17,468本)= 世界初の汎用電子式コンピュータ
あいで
真空管17,468本ってすごい数ですね!当時の人たちはこれを見てどう思ったんですか?
みかん
圧倒的な計算力を持つエニアックの誕生は、いずれコンピュータが人間の能力を凌駕するだろうという可能性を見出すきっかけとなりました。
あいで
部屋を占領するような機械が今のスマホより小さなチップで済む時代になったんですもんね。
1.2 ダートマス会議
みかん
人工知能という言葉は、エニアックの誕生からちょうど10年後の1956年にアメリカで開催されたダートマス会議において初めて使われました。
ダートマス会議
ダートマス会議(1956年)= 「人工知能」という言葉が初めて使われた歴史的な会議。AI研究の正式な出発点。
1956年 ダートマス会議で「人工知能」という言葉が初めて使われた
みかん
マーヴィン・ミンスキー、ジョン・マッカーシー、アレン・ニューウェル、ハーバート・サイモン、クロード・シャノンなど、後に人工知能や情報理論の研究で重要な役割を果たす著名な研究者たちも参加しました。
あいで
そうそうたるメンバーですね!会議では具体的にどんなことが議論されたんですか?
みかん
知的に行動したり、思考したりするコンピュータ・プログラムの実現可能性について議論されました。
みかん
特にニューウェルとサイモンは、世界初の人工知能プログラムといわれるロジック・セオリストをデモンストレーションし、コンピュータを用いて数学の定理を自動的に証明することが実現可能であることを示しました。
ロジック・セオリスト
ロジック・セオリスト = ニューウェルとサイモンが発表した世界初の人工知能プログラム。数学の定理の自動証明を実現。
ニューウェル・サイモン「ロジック・セオリスト」世界初の人工知能プログラムで数学の定理を自動的に証明
みかん
これはコンピュータが四則演算などの数値計算しかできなかったものであった当時、画期的なことでした。
あいで
計算機が定理を証明するなんて、当時の人たちからしたら未来そのものですよね。
1.3 人工知能研究のブームと冬の時代
みかん
人工知能研究は、これまで「ブーム」と「冬の時代」を何度か繰り返してきています。
あいで
波のように盛り上がっては冷めてを繰り返してきたんですね。順番に見ていきましょう!
みかん
第1次AIブームは1950年代後半から1960年代、「探索・推論の時代」です。コンピュータによる「探索」や「推論」の研究が進み、特定の問題に対して解を提示できるようになったことがブームの要因です。
第1次AIブーム
第1次AIブーム(1950年代後半〜60年代)= 「探索」「推論」の研究が進み、特定の問題に解を提示できるようになった時代。
第1次AIブーム: 探索・推論の時代(1950年代後半〜60年代)
みかん
東西冷戦下のアメリカでは、特に英語—ロシア語の機械翻訳が注目されました。
みかん
しかし、迷路や数学の定理の証明のような簡単な問題(「トイ・プロブレム(おもちゃの問題)」)は解けても、複雑な現実の問題は解けないことが明らかになった結果、ブームは急速に冷め、1970年代には人工知能研究は冬の時代を迎えます。
トイ・プロブレム
トイ・プロブレム = 迷路や数学の定理証明のような簡単な問題。これらは解けたが複雑な現実問題は解けず冬の時代へ。
トイ・プロブレム(おもちゃの問題)は解けても複雑な現実の問題は解けない→1970年代冬の時代
あいで
シンプルな問題なら解けるけど現実はそんなに単純じゃない、ってことですね。
みかん
第2次AIブームは1980年代、「知識の時代」です。コンピュータに「知識」を入れると賢くなるというアプローチが全盛を迎え、データベースに大量の専門知識を溜め込んだエキスパートシステムと呼ばれる実用的なシステムがたくさん作られました。
エキスパートシステム
エキスパートシステム = データベースに大量の専門知識を蓄積した実用的なシステム。第2次AIブームの中心的な成果。
第2次AIブーム(1980年代): 知識の時代・エキスパートシステム
みかん
日本では、政府によって「第五世代コンピュータ」と名付けられた大型プロジェクトが推進されました。
日本政府主導: 第五世代コンピュータ大型プロジェクト
みかん
しかし、知識を蓄積・管理することの大変さが明らかになってくると、1995年ごろからAIは再び冬の時代に突入します。
知識獲得のボトルネック
知識獲得のボトルネック = コンピュータに膨大な知識を蓄積・管理することの大変さ。第2次AIブーム終焉の原因。
知識を蓄積・管理することの大変さ→1995年ごろ第2次冬の時代へ
あいで
知識を人間が手で入れ続けるのには限界があったんですね…。
みかん
第3次AIブームは2010年から、「機械学習・特徴表現学習の時代」です。ビッグデータと呼ばれる大量のデータを用いることで、人工知能が自ら知識を獲得する機械学習が実用化されました。
第3次AIブーム(2010年〜): ビッグデータで機械学習が実用化
みかん
また、知識を定義する要素(特徴量と呼ばれる対象を認識する際に注目すべき特徴を定量的に表したもの)を人工知能が自ら学習するディープラーニング(深層学習)が登場したことが、ブームの背景にあります。
ディープラーニング
ディープラーニング(深層学習)= 対象を認識する際に注目すべき「特徴量」を人工知能が自ら学習する技術。第3次AIブームの最大の背景。
特徴量(注目すべき特徴の定量値)を自ら学習するディープラーニング(深層学習)が登場
みかん
2012年にディープラーニングを用いたチームが画像認識競技で圧勝したことや2016年に世界トップの囲碁のプロ棋士にディープラーニングを用いた人工知能であるAlphaGoが勝利するなど、象徴的な出来事が続きました。
2012年DL画像認識競技圧勝・2016年AlphaGo囲碁プロ棋士勝利
みかん
これらの出来事は、人間を超える「超知性」の誕生(シンギュラリティー)の可能性に対する懸念を広め、不安と期待をさらに高めました。
人間を超える「超知性」シンギュラリティーへの懸念と期待が高まる
あいで
AIが人間を超えるかも、という話題が一気に広まった時期ですね。
みかん
2010年代中頃から、ディープラーニングの応用はさらに広がりを見せ、ディープラーニングを駆使して、創造的な画像や音楽、文章などを生み出す「生成AI」という分野の研究が活性化しました。
2010年代中頃〜 創造的な画像・音楽・文章を生む生成AIの研究が活性化
みかん
自然言語処理の分野では、大量の言語データを効率的に学習し、それを基に自然な文章を生成できる「大規模言語モデル(Large Language Model, 略してLLM)」と呼ばれる技術や、それを応用したサービスが次々と開発されました。
大規模言語モデル(LLM)
大規模言語モデル(LLM)= 大量の言語データを効率的に学習し、自然な文章を生成できる技術。自然言語処理の中核。
大量の言語データを学習し自然な文章を生成大規模言語モデル(LLM)が次々開発
みかん
2022年に米国の非営利研究機関であるOpenAIがChatGPTを公開すると、わずか2ヶ月程度でアクティブユーザー数が1億人を突破し、生成AIの技術を利用しない社会はもはや想像できないという認識が世界中に広がりました。
ChatGPTの衝撃
ChatGPT(2022年)= OpenAIが公開した生成AI。わずか2ヶ月でアクティブユーザー数1億人を突破。
2022年OpenAIがChatGPT公開→2ヶ月でユーザー1億人突破
あいで
2ヶ月で1億人ってとんでもない速さですね!
みかん
この背景を受け、一部の専門家は、ChatGPTの登場を機にAIブームが新たな局面、「第4次AIブーム(生成AIの時代)」に突入したと考えています。
ChatGPTを機にAIブームは第4次AIブーム(生成AIの時代)へ突入
みかん
大まかに言うと、第1次AIブームは「探索・推論の時代」、第2次AIブームは「知識の時代」、第3次AIブームは「機械学習と特徴表現学習の時代」であると言えます。ただし、より正確には、この3つは互いに重なり合っています。
みかん
たとえば、第2次ブームの主役である知識表現も、第3次ブームの主役である機械学習も、本質的な技術の提案は、第1次ブームのときに既に起こっており、逆に、第1次ブームで主役だった探索や推論も、第2次ブームで主役だった知識表現も、今でも重要な研究として継続されています。
まとめ
みかん
1946年のエニアック誕生と、1956年のダートマス会議で「人工知能」という言葉が生まれた。
1946年ENIAC誕生・1956年ダートマス会議で「人工知能」命名
みかん
第1次AIブームは探索・推論の時代。迷路やパズルなどは解けたが、現実世界の問題は解けず1970年代に冬の時代へ。
第1次: 探索・推論→トイ・プロブレムの限界で1970年代冬の時代
みかん
第2次AIブームは知識の時代。エキスパートシステムや第五世代コンピュータが注目されたが、知識獲得のボトルネックから1995年ごろ再び冬の時代へ。
第2次: エキスパートシステム・第五世代コンピュータ→知識獲得のボトルネックで1995年冬の時代
みかん
第3次AIブームは機械学習・特徴表現学習の時代。ビッグデータとディープラーニングで大きく進化し、2012年の画像認識競技、2016年のAlphaGoが象徴的。
第3次: ビッグデータ+ディープラーニング、2012画像認識・2016AlphaGo
みかん
そして2022年のChatGPT登場で生成AIが一気に広まり、第4次AIブームの兆しが見えている。
2022年ChatGPT登場→第4次AIブーム(生成AIの時代)
みかん
ということで今回は人工知能研究の歴史について解説しました。
あいで
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あいで
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